2012年08月23日09:30 【プレスリリース】
パナソニック 新開発 高放熱超小型PMCP(Power Mount CSP)採用 パワーMOSFETを開発
パナソニック株式会社デバイス社は、スマートフォン、タブレットPC、ノートPCなどの電源向けに、高放熱かつ超小型、高効率なパワーMOSFET[1](品番:FJ3P02100L/FK3P02110L/FK3P03240L)を開発しました。本製品は、当社独自の新パッケージPMCP(Power Mount CSP)を用いています。FJ3P02100L/FK3P02110Lは2012年10月より、FK3P03240Lは2013年3月より量産を開始します。
【効果】
本製品をスマートフォンなどの電源供給制御に使われるロードスイッチ[2]として使用することにより、電源小型化と機器の低消費電力化を実現可能です。また、リチウムイオン2次電池の保護回路用として使用することにより、バッテリーの長時間駆動を実現可能です。
【特長】
本製品は以下の特長を有しております。
1. 当社独自のPMCPパッケージを採用することにより、放熱特性を従来比最大5%※1向上させながら体積比8割強※1低背化を実現。電源を小型・薄型化するとともに、細やかな電源供給制御による低消費電力化を実現可能
パッケージサイズと放熱特性はトレードオフの関係にあります。小型化品は部品の実装密度を上げることが可能ですが、放熱特性が悪く、部品の実装密度を下げるための熱分散設計が必須となります。また高放熱特性品は、高密度実装が可能ですが、高放熱特性を保つためにパッケージサイズが大きくなってしまいます。そのため、結果的にどちらも部品の実装面積が増大する課題がありました。本パワーMOSFETは、業界に先駆けて小型化と放熱性のトレードオフ関係をブレイクスルーする超小型、高放熱の新パッケージPMCPを開発することで、従来比46%※1の小型化と従来比67%※1の低背化に加え最大5%※1の放熱特性向上を達成することができ、パワーMOSFETの小型・高密度実装を可能とすることで、機器の電源の小型・薄型化に貢献できます。また、ロードスイッチとして多用可能となるため、細やかな電源供給制御を行うことで機器の低消費電力化が実現可能です。
2. 同一チップ面積時のオン抵抗[3]を従来比47%※1低減することにより、電源の利用効率が上がり、機器の低消費電力化を実現可能
ゲート電圧で、電流のオン・オフを制御するパワーMOSFETは、一旦電流がオンになれば抵抗とみなすことができます。電流をより多く流すためには抵抗を小さくする必要があり、また抵抗の値はセルの大きさによって変わるため、同じセルサイズで比較した場合のオン抵抗を従来比47%※1削減しました。これにより電流オン時の損失を大幅に低減でき、バッテリーの長時間駆動ならびに機器の低消費電力化に貢献します。
【内容】
本製品は以下の技術によって実現しました。
1. 小型・薄型でありながら、当社従来品※1以上の放熱特性を実現する新パッケージ設計における最適放熱設計技術
当社独自の最適放熱設計技術により、チップから基板へ直接放熱する基板放熱量と気中放熱量の最適化を図る形状設計を行うことで、小型・薄型でありながら当社従来品※1以上の放熱特性を実現しました。
2. 当社が培ってきた110nm微細加工技術と、チップ厚を最小限まで薄くするウェーハ薄膜化技術
通常Nチャネル型パワーMOSFETは素子裏側の基板から表側のチャネル部に向かって電流を流します。110nmプロセスルールの微細加工技術の適用により単位面積当たりのセル数を増やすことで、チャネル部の抵抗値を削減しました。同時に、ウェーハ薄膜化技術の追求により基板を薄くすることで、基板抵抗値を削減しました。これらにより、オン抵抗を従来比47%※1削減することができました
【従来例】
近年、スマートフォンなどのモバイル機器のさらなる省エネ化、バッテリーの長寿命化のため、よりきめ細かな電源制御が要望されており、ロードスイッチ用パワーMOSFETの員数が大幅に増加する方向です。部品点数が増加しても電源回路部の面積を最小限に抑えるため、パワーMOSFETのさらなる小型化、高効率化が求められています。
【実用化】
量産開始 :2012年10月
サンプル価格:数量応談
※1 当社従来品SK8403080Lとの比較。本製品はFK3P03240Lとの比較。
【用語の説明】
[1]MOSFET(金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ)
Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistorの略で、ゲートの絶縁に酸化膜を使った電界効果型トランジスタを指します。
[2]ロードスイッチ
回路に電源を供給するラインのON/OFFのコントロールを行うスイッチのことです。
[3]オン抵抗
MOSFETがON状態のときの、MOSFETのドレイン電極とソース電極間の抵抗値をオン抵抗と呼びます
【照会先】
デバイス社 経営企画グループ 広報・調査チーム
TEL : 06-6904-4732
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