2013年09月14日11:00 【その他の情報】
サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社 質量分析技術を用いたインタクトタンパク質の分析システム2機種を新開発 ~ ヒトプロテオーム機構国際会議にて世界初披露 ~
サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社(本社: 神奈川県横浜市、代表取締役社長: イアン・マイケル・スミス/Ian Michael Smith)は、6月に発表した革新的な性能と使いやすさを備えた新しい主力製品である、ベンチトップ型フーリエ変換質量分析計オービトラップ フュージョン(以降Thermo Scientific Orbitrap Fusion)、およびトリプル四重極質量分析計TSQ クアンティヴァ(以降Thermo Scientific TSQ Quantiva)、TSQ エンデュラ(以降Thermo Scientific TSQ Endura)に加えて、この度、インタクトタンパク質に最適化した新しい2つのシステムである「Thermo ScientificイグザクティブプラスEMR液体クロマトグラフ質量分析計(以降Thermo Scientific Exactive Plus EMR)」と「Thermo Scientific キューイグザクティブプラス液体クロマトグラフ質分析計(以降Thermo Scientific Q Exactive Plus)」を発表します。これにより、研究段階の探索、同定、定量分析からバイオ医薬品の品質管理までの、タンパク質解析の総合プラットフォームを拡充しました。
この新しい2つのシステムを、9月14日(土)から9月18日(水)までパシフィコ横浜にて開催される、「第12回ヒトプロテオーム機構国際会議(以降HUPO)」 のブースNo. 51にて展示発表します。
【HUPOで発表する新しい2つのシステム】
• Thermo Scientific Exactive Plus EMR液体クロマトグラフ質量分析計は、質量測定範囲を拡張したシステムで、分析が困難なインタクトタンパク質の特性解析を高分解能・精密質量分析で行うために設計されました。分析対象となるのは、モノクローナル抗体中の不純物、抗体医薬品、PEG 結合タンパク質、オリゴマー形成タンパク質、糖タンパク質、タンパク質集合体などのバイオ医薬品が主で、製造工程の品質管理にも利用することができます。
• Thermo Scientific Q Exactive Plus液体クロマトグラフ質分析計は、第2世代のハイブリッド Orbitrap をベースとするシステムであり、「Quanfirmation – 定量確認」特性評価能力を高めることと、1台の質量分析計で定量解析と構造確認を同時に行うことを目的に設計されています。アプリケーションには、プロテオミクス、メタボロミクス、リピドミクスによるバイオマーカー探索から、同定、相対定量分析をカバーします。
【HUPO で発表する解析プラットフォームの構成製品】
• Thermo Scientific Orbitrap Fusion 液体クロマトグラフ質量分析計は、3つの質量分析計 (四重極、Orbitrap、リニアイオントラップ) を組み合わせた、新しい構造(トライブリッド構造)のシステムです。この構造により高密度なデータ取得が可能となり、複雑な生体サンプルであっても高分解能、高精度な詳細情報を得ることができます。微量な成分の同定能力に優れ、探索・同定研究段階で威力を発揮します。
• Thermo Scientific TSQ Quantiva 液体クロマトグラフ質量分析計は、最高レベルの感度 (アトグラムレベル) を安定して定量分析するために設計された、最新のトリプル四重極質量分析計です。生産性、正確性、使い勝手の良さを実現し、定量分析を変革するために設計されました。Orbitrap Fusion、またはQ Exactive Plusで見つけられたマーカー候補を高い精度で定量分析し、また検証するための多くの臨床検体を迅速に分析する検証用のシステムです。
• Thermo Scientific TSQ Endura 液体クロマトグラフ質量分析計は、TSQ Quantiva の先進技術を多く取り入れながら、堅牢性とコストパフォーマンスを重視したシステムです。疾病マーカーや医薬品のTDMなど臨床検査室での用途を前提に設計されたシステムです。競合する他のトリプル四重極質量分析計よりも長時間、安定して稼働できるように設計され、同時に自動前処理システム(製品名:Prelude)を組み合わせることでスループットと安全性を確保したシステムを構築できます。
• Thermo Fisher Scientific Pierce Tandem Mass Tag 10-Plex Isobaric Mass Tag Labeling Kits and Reagentsは、質量分析計と組み合わせることで、10種類の分析検体の相対定量解析を一度に分析することができ、分析時間を10分の1に短縮することができます。同試薬で処理した検体をOrbitrap Fusionで分析すると、高いスループットと定量精度で解析可能で、同時に変動成分を同定できる、バイオマーカー探索・同定のためのキーテクノロジーのひとつです。
• Thermo Scientific myECL Imager は、ワンタッチ操作で使いやすい、ゲルおよびブロットのイメージング装置です。タッチスクリーンと専用ソフトウェアにより、高感度なマルチモードの画像キャプチャーと分析を行なうことができます。
サーモフィッシャーサイエンティフィックのライフサイエンス質量分析部門の最高技術責任者であるイアン・ジャーディン(Ian Jardine)は、次のように説明しています。「今年、弊社では、質量分析計の変革を加速しています。まず、2つの新しい主要なシステムを 6月に発表しました。ひとつは、革新的な Orbitrap Fusion 質量分析計であり、新しいタイプの発見や解析を可能にします。もうひとつは、新しいトリプル四重極分析計TSQ QuantivaとTSQ Enduraで、定量分析のための性能の垣根を広げ、利便性の向上を考慮して設計されました。HUPOでご紹介するこれらの新システムは、科学者がさらに多くのことを達成できるようサポートするという弊社の取り組みを証明するものです」
インタクトタンパク質
バイオ医薬品研究や生物学に携わる科学者に、インタクトタンパク質を特性評価するための新しい強力なツールである、Thermo Scientific Exactive Plus EMR 高分解能液体クロマトグラフ質量分析計をご提供できるようになりました。Exactive Plus EMRは、次のような特長を持っています。
• 分析可能m/zの範囲を350 ~ 20,000 に拡張しました。
• 信号強度を高くするために、高質量イオンの透過率を改良しました。
• 実験条件を簡単に最適化できるように HCD 圧力の制御を改良しました。
• S/N 比を改良するために、長時間の積算が可能です。
カリフォルニア大学サンフランシスコ校のシェンヘン・グワン(Shenheng Guan)教授は次のように話しています。「Exactive Plus EMRを使用すれば、優れた感度と質量分解能で天然タンパク質複合体を特性解析することができる。今後は、タンパク質の機能解析やタンパク質複合体・薬物の相互作用の分子構造を解読するための必須のツールとなるだろう。従来のプロテオミクスの手法を超えて、広範な情報を得られるようになるだろう」
特性解析、定量、そして確認
「Quanfirmation – 定量確認」は、2011年の Thermo Scientific Q Exactive ハイブリッド 質量分析計の発売とともに、初めて質量分析業界に知られるようになりました。そしてこの度、このベンチトップハイブリッドシステムの第2世代である Thermo Scientific Q Exactive Plus 液体クロマトグラフ質量分析計を発表します。このシステムは、定量・定性同時分析によって高い信頼度を要求される薬物動態のスクリーニング研究やインタクトモノクローナル抗体の特性評価などのアプリケーションの幅を広げることを目的としています。
改良点は次の通りです。
• 高度な四重極技術を開発し、複雑なマトリクス中の微量成分をより正確に定量するための選択性と透過率を改良しました。
• 高度なアクティブビームガイド (AABG) を設計することにより、ノイズを低減し、メンテナンス間隔を延長しました。
• オプションのタンパク質モードによりインタクトタンパク質の分析にも対応しました。
これまでにない高感度分析
Thermo Scientific Orbitrap Fusion 質量分析計は、トライブリッド構造により、これまでに販売されたどの質量分析計よりも、より多くの微量タンパク質をより迅速に、確信をもって識別することができます。独自の機構により、プリカーサー分離、フラグメンテーション、データ収集を Orbitrap とリニアイオントラップ質量分析計の両方で同時に行うことができます。
次のような特長を備えています。
• 卓越した感度と選択性を実現するため、前段の四重極は0.4 Da(1価イオンの場合)という高い質量分離能を持っています。
• 高電場Orbitrap の分解能は 450,000 を超え、スキャン速度は最高で15 Hz です。卓越したスピードと質量分解能を備えています。
• 高い質量分離能と分析精度を有する高電場Orbitrapと、高速な多段階MS/MS機能を実現するデュアルプレッシャーリニアイオントラップを使い分けるために、高性能のイオンルーティングデバイスを搭載しています。このデバイスによって複数の開裂手法(HCD、CID、ETD)と多段階のMS/MSを自由に組み合わせて、詳細な構造情報を取得することができます。
ハーバード大学医学大学院の細胞生物学の教授であるスティーブン・ギジ(Steven Gygi)博士は次のように語っています。「最大の課題は感度とスループットであった。われわれのラボでは10種類のサンプルについて定量解析を行うワークフローを構築しているが、Orbitrap Fusionを導入してまったく新次元のシステムであると感じた。 この装置は、プロテオームも含む広い応用範囲で、これまでよりはるかに正確に定量分析できるという点で画期的である」
早くから質量分析計を用いて研究を行ってきた、デンマーク工科大学のルネ・リンディン(Rune Linding) 教授は「細胞の信号伝達ネットワークの動的な解析研究を行うには、最先端の質量分析計が必要」と述べています。教授は次のように説明しています。「Orbitrap Fusion を使用すれば、新しい領域に踏み込み、細胞の挙動をまったく新しい観点で分析することができる。また、信号伝達ネットワークによって個々の細胞の動きにどのような影響を与えるのかについて遺伝子レベルの研究を行うことも可能である。この点は非常に重要だ。なぜなら、癌のような複雑な病気の進行は、そのような分子レベルのネットワークの変化が原因であることが明らかになっているからだ。Orbitrap Fusion を設置してからほんの数日後にOrbitrap Fusion から、これまでにない最高の MS/MS データが得られるのを見てとても感動した。そのデータには、重篤な癌のサンプルには特定のリン酸化修飾があることが示されていた」
マサチューセッツ公立がんセンターのウィル・ハース(Will Haas)医師 は「Orbitrap Fusion の卓越した分析スピードによって、これまで不可能と考えていた臨床プロテオミクスのより深い研究領域を視野に入れることができる。特にTandem mass tagによる定量解析と組み合わせたとき、この装置のスピードと感度を実感することができた。われわれのラボのように一台のシステムで癌研究を行うことができるようになるということは、本当に衝撃的な感動だ」と述べています。
サーモフィッシャーサイエンティフィックの新しい質量分析装置および製品の詳しい情報は、下記からご覧ください。
●タンパク質解析に関する質量分析計の詳細(英語)
http://www.planetorbitrap.com
●質量分析計に関する日本法人ウェブサイト(日本語)
http://www.thermoscientific.jp/lc-lcms/index.html
●日本法人ウェブサイト(日本語)
http://www.thermoscientific.jp/
●製品お問い合わせ(日本語)
http://www.thermoscientific.jp/contact/bunseki-contact.html
米国 Thermo Fisher Scientific について
Thermo Fisher Scientific Inc. (NYSE:TMO) は、世界をリードする科学サービス企業です。私たちのミッションは、私たちの住む世界を「より健康で、より清潔な、より安全な場所」にするために、お客様へ製品・サービスを提供することです。130 億ドル近くの収益と 39,000 人の従業員を誇り、医薬・バイオ企業、病院、臨床診断ラボ、大学、研究機関、公共機関のほか、環境分野・プロセス管理分野のお客様に貢献します。当社の3つの強力なブランド、Thermo Scientific、Fisher Scientific、Unity™ Lab Services は、大切なお客様のために価値を生み出し、常に技術開発を行い、お客様に選択の幅と利便性、ラボ管理のシングルソリューションを提供しています。当社の製品とサービスは、お客様の分析に関わる問題を解決し、臨床診断の向上に貢献し、ラボの生産性を向上するお手伝いをします。
URL: http://www.thermofisher.com
サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社(日本法人)について
米国Thermo Fisher Scientific Incの日本法人である、サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社は、総合システム分析機器およびバイオ関連機器、研究用試薬などの販売会社です。日本国内では横浜、東京、大阪、福岡に拠点を持ち、質量分析計をはじめとする各種分析機器、各種バイオ関連機器、計測器、医療機器、ラボ用ソフトウェア、研究用試薬を取り扱っています。
本社:神奈川県横浜市神奈川区守屋町3-9 C-2F 代表取締役社長:イアン・マイケル・スミス
URL: http://www.thermofisher.co.jp
このリリース内容に関するお問い合わせ先
サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社
マーケティングコミュニケーションズ部 LC-MS担当
電話 045-453-9212
URL: http://www.thermoscientific.jp/
Email: analyze.jp@thermofisher.com