2011年07月28日14:00 【プレスリリース】
オバマ米国大統領と米連邦議会議員に宛てた連名公開意見書 米国債務正常化への要望 運用受託者、運用アドバイザー、年金基金が危惧する米国債格下げの可能性について
2011 年7 月28 日(東京)‐ブラックロック(NYSE:BLK)は米国時間2011 年7 月25 日午後、公的、企業、組合年金、運用アドバイザー、運用受託者など、米国市場への投資を支える多くの関係者と連名で、米国債務の正常化を求める公開意見書をオバマ米国大統領と米連邦議会議員に送付いたしました。
本意見書は、1)連邦債務上限引き上げ問題に取り組むだけでは、連邦債務全ての問題の解決にはつながらない、2)債務上限を引き上げることで満足することは、債務問題が解決したという、間違った認識を米国民にもたらすことになる、3)全米国民の将来の為に、力強い経済成長や雇用創出を望むのであれば、この時点で財政問題を根本的に且つ完全に解決する必要がある、等の内容を織り込んでいます。本意見書については別途添付のファイルをご参照ください。
ブラックロックについて
ブラックロックは、グローバルに資産運用、リスク・マネジメント、アドバイザリー・サービスを提供している世界有数の資産運用会社です。ブラックロックでは、直接投資、 ミューチュアル・ファンド、その他投資手法、さらには業界を牽引するiShares®ETF 等を通して、資産クラスを跨って様々な運用商品をご提供しています。2011 年6 月30 日現在、運用資産残高は3.66 兆米ドル(約296 兆円)に達しています。ブラックロックは、ブラックロック・ソリューションズ(BlackRock Solutions®)を通じて、資本市場における専門性と独自のシステム及び技術を融合させ、リスク・マネジメント及びアドバイザリー・サービスを提供しています。ブラックロック・ソリューションズのリスク・マネジメント及び全社的運用プラットフォームの提供に係るサービスの契約資産残高は約10 兆米ドルとなっています。ブラックロックはニューヨークを本拠として、世界26 ヶ国に拠点を擁し、北米、南米、欧州、アジア、オーストラリア、アフリカ、中東のお客様にサービスを提供しています。詳細は、ブラックロックのウェブサイトをご覧ください。www.blackrock.com Copyright © 2011BlackRock. All Rights Reserved.
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理性と行動への呼びかけ
バラク・オバマ米大統領と米連邦議会議員に宛てた公開意見書
拝啓、米国大統領殿、米連邦議会議員殿
私どもは、米国市場への投資を支えている中小企業から大手企業に至るまでの企業年金、警察官、消防士、教員、看護師などの退職年金基金の運用受託者として日々尽力しております。このような退職後に備えて大切な資金の貯蓄をしている私どものお客様は、米国とその指導者に多大なる信頼を寄せている投資家や起業家であり、米国の預金者や雇用創出者とも言えます。しかし、彼らは米国の明るい将来を望んでいるにも関らず、今日の先行き不透明感な米国経済のために、世界における米国の金融立国としてのリーダーシップに確信が持てなくなりつつあります。もし今、この時点でしかるべき行動を起こさなければ、米国経済の健全性は脅威にさらされ、この先何年にもわたり米国民全員が苦悩や困難に直面することになると考えられます。
今や米国は債務国であります。したがって、必ず債務を返済するということを国として世界に示す必要があります。しかし、短期的にも長期的にも巨額の財政赤字を抱えるという本質的な問題があるため、差し迫ったデフォルトを回避するための債務上限引き上げのみでは問題解決として不十分であると私どもは考えます。連邦債務上限の引き上げのみでは本質的な問題の解決になるどころか、それに満足することは、債務問題が解決したという間違った認識を米国民にもたらすとも思われます。従って、もし皆様が、米国民全員の将来の為に力強い経済成長や雇用創出を望むのであれば、今この時点で財政問題を根本的に且つ完全に解決する行動に出る必要があると考えま
す。
私どもは米国民の年金資金の受託者として、連邦議会による大幅な財政赤字削減を要請いたします。議会が財政赤字削減に向けた信頼できる行動計画を示さなければ、格付け機関が米国債を格下げする可能性は高いと考えられます。以前であれば、米国債がAAA 格を失うことは考えらないことでした。しかし、今もし米国の指導者がしかるべき行動を起こさなければ、その可能性は非常に高くなると言えます。仮にそれが現実のものとなった場合、フランスやドイツを含む6 つの国の信用格付けは米国を上回ることとなり、それは同時に米国の債務返済能力の低下を示すことになります。また、米国債格下げが及ぼす影響は、間違いなく深刻で甚大なものとなることを私どもは決して忘れてはならないと思います。
現在、金利は低水準で推移しています。しかし、もし米国債の格下げが現実に起これば、今後数年の期間にわたる金利の上昇は避けられないと考えられます。米国は諸外国による米国債購入に大きく依存しています。米国の財政見通しが悪化すれば、世界の投資家はリスクの上昇と引き換えに高い利回りを求めると考えられます。また、多くの投資家が米国から他国へ投資先を求めることも考えられます。
米ドルは、世界中の投資家にとって準備通貨であるため、米国のインフレ率は他国を大きく下回ってきました。仮に米国債が最高格付けを失った場合、投資家は資産保全のために他の通貨を準備通貨として選択することも考えられます。その場合、米ドル安に陥り、将来のインフレ・リスクを高め、米国民の生活水準を低下させる結果をもたらすと予想されます。その影響は全米に及ぶと予想され、住宅、自動車、学費などのローン金利の上昇とローン額の減少とをもたらすと考えられます。更には、今以上に信用の確保が困難になると思われます。米ドル安は、退職後に備えている資金価値の低下をもたらします。企業においてはコスト高になるため雇用創出が困難になることも予想されます。結果的に、米国の経済成長がこの先何年にもわたって停滞し、米国民の生活水準が低下するという大変厳しい状況に米国が陥ることも考えられます。
もし皆様が、有権者に選ばれた国民の代表として、政党や政治の利害より米国民の利益を最優先させるのであれば、そうした壊滅的な結末を必ず回避することができます。是非、目的を共有し、直ちに責任をもった行動を取ることを強く要請いたします。
敬具