2012年05月30日10:00 【プレスリリース】
青柿に悪玉コレステロール減少効果を発見 独自製法で渋みを消した粉末を5/23から発売 サブレなどスイーツや麺類へ応用期待
未利用の青柿の活用で地元農家の支援にも
和歌山の酒造大手で機能性食品の研究・開発を手掛ける中野BC (海南市)は、熟す前に摘果する「青柿」の粉末を開発、食品やサプリメントに使う業務用商材として2012年5月23日(水)から発売開始しました。
商品名は「パーシモンパウダー」で、柿の木や実を意味するパーシモンという英単語が由来です。
販売価格は100g 1,650円(送料別)と1kg 15,000円(送料込)で、年間300kgの売り上げを目指します。
パーシモンパウダーは、1kgを生産するのに、10kgの青柿を消費します。生産が軌道にのれば、未利用の青柿を有効利用できるため、農家の新たな収入源にもつながると期待しています。
販売促進のために、粉末を使った洋菓子や和菓子3品を紹介する特設サイトを開設しました。今後もスイーツや菓子のバリエーションを広げ、新たにパンなどのレシピも考案し、用途拡大を目指します。
■ 生産量伸び悩む農家の支援に
和歌山県は全国一の柿の産地ですが高齢化や後継者不足に苦しみ近年、柿販売農家数は約3.8万戸(1985年)から約2.5万戸(2005年)※まで減少しています。
※出典:和歌山農林水産統計年報
かつ収穫前の7~9月に間引く青柿は摘果後の有効な利用法がなく、料理食材として活用できないか農家でレシピ作りも行われていますが活路を見いだせていません。
当社は、この未利用資源である青柿の有効活用が、柿農家の支援にもつながると考え、食品素材としての研究に乗り出し、加工技術の開発や機能性成分の研究結果を見出しました。
■ 当社研究で、メタボのリスク軽減や糖尿病改善の効果に期待
当社は柿の中でも、特に未成熟な「青柿」に着目し、農林水産省の助成事業「産学官連携による食料産業等活性化のための新技術開発事業」の研究補助金を受け2007年から、当社リサーチセンター「食品科学研究所」と岐阜県生物工学研究所、(独)食品総合研究所と共同で機能性等の研究を進めてきました。
2008年には、特許出願中の当社独自技術を考案し、青柿を“無味”の粉末にすることに成功。
渋みの強さから食用には難しい青柿を無味の粉末にしたことで、スイーツや菓子などの食品やサプリメントといった機能性食品などへの応用が見込め、商品化を検討し始めました。
また2007年からの研究が実り、2009年には、青柿に含まれる成分ポリフェノールの一種「タンニン」が、善玉コレステロール(HDL)を減らさずに、動脈硬化などを進行させる悪玉コレステロール(LDL)を減少させる効果を発見しました。メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)のリスク減少や、高脂血症や糖尿病の改善にも効果が期待できます。
今年4月に新商品と研究内容を、東京で開催された和・洋菓子の業務用食品の展示会で紹介したところ、食品関連のメーカーや商社など約20社から「サンプルを送ってほしい」「麺類の粉に混ぜてみてはどうか」といったお問い合わせやご提案をいただくなどし、反響も上々です。
実際に「社会福祉法人 聖愛会 南山苑」が採用し、高野山金剛峯寺で6月に行われる青葉祭で、粉末を練り込んだ手打ちうどんが参加者にふるまわれます。
■ 洋菓子店でスイーツを販売、健康になれると人気
当社は発売を前に、粉末を使用したスイーツの共同開発を高知県の菓子工房「コンセルト」に依頼しました。同店では既に「柿フィナンシェ」「柿と酒粕のサブレ」「わらび餅」の3商品を、4月から試験販売していただいています。健康になれる“機能性スイーツ”として、お客様に好評です。